技術情報3DCG
3DGS(Gaussian Splatting)とは?点群との違いと建設分野での活用方法
3DGSビューワーをつくったWANが考える、点群との分担
3DGS(3D Gaussian Splatting/3Dガウシアンスプラッティング)は、写真や動画から、実際の場所を写真に近い見た目の3D空間として再現する技術です。
建設・土木分野では、現場を3Dデータとして残す方法として、以前から点群が使われてきました。そのため3DGSを知ったとき、「点群と何が違うのか」「測量にも使えるのか」と疑問に思う方もいるでしょう。
3DGSと点群は、見た目だけでなく、データの性質や向いている用途が異なります。
この記事では、3DGSの基本的な仕組みから点群との違い、建設分野での実用方法まで解説します。

013DGSとは3DGSは、どのような仕組みで写真から3D空間をつくるのか?
3DGSは、複数の写真や動画をもとに、撮影した空間を3次元で再現する技術です。
2023年に発表された論文「3D Gaussian Splatting for Real-Time Radiance Field Rendering」では、空間を多数の3次元ガウシアンで表現する手法が提案されました。各ガウシアンは位置だけでなく、大きさ、向き、色、不透明度などの情報を持ちます。これらを組み合わせることで、元の写真にはない位置から見た景色も描画します。

通常の写真は、撮影した位置と方向から現場を確認するものです。3DGSでは、生成された3D空間の中で視点を動かし、建物の周囲や道路の先などを別の角度から確認します。
3DGSが登場する以前から、写真をもとに新しい視点の画像を生成する技術としてNeRFなどが研究されていました。3DGSは、高品質な描画とリアルタイムに近い表示速度を両立する手法として提案されています。
編集部メモ
3DGSは「写真をそのまま3Dにする技術」ではありません。
複数の画像から撮影位置や空間の見え方を推定し、3D空間として再構成します。そのため、撮影枚数や角度、対象物の見え方などが仕上がりに影響します。
023DGSと点群の違い3DGSは、点群の代わりに測量に使えるのか?
3DGSと比較されることが多いのが点群です。
点群は、3次元の座標を持った多数の点で物体や空間を表したデータです。レーザースキャナーを使って取得する方法のほか、写真から生成する方法もあります。
特に測量用のレーザースキャナーから取得した点群は、現況の形状や位置を数値として扱えるため、測量、出来形管理、図面作成、BIM/CIMモデルとの比較などに使われます。
3DGSは、こうした点群とはデータの表現方法も、主な利用目的も異なります。

| 項目 | 点群 | 3DGS |
|---|---|---|
| 主な表現 | 3次元座標を持つ点 | 大きさや向き、色、不透明度などを持つ3次元ガウシアン |
| 見え方 | 点の集合として表示 | 写真に近い外観を再現しやすい |
| 形状・位置の計測 | 使用する計測機器や処理方法によって高精度な計測が可能 | 作成方法や座標・スケールの設定によって精度が変わる |
| 主な用途 | 測量、出来形管理、設計、解析 | 現況確認、記録、説明、3D空間の閲覧 |
| データの確認 | 点群対応ソフトなどを使用 | ビューワーによってブラウザなどで閲覧可能 |
注意したいのは、「点群なら必ず高精度」「3DGSなら計測には使えない」と単純には分けられないことです。
点群の精度は、使用する機器や取得方法によって変わります。3DGSでも、実寸のスケールや座標を適切に設定していれば、3D空間上で距離や位置関係を確認する用途には使えます。
ただし、3DGSそのものが測量精度を保証するわけではありません。精密な寸法や位置を根拠として扱う業務では、元データの取得方法や精度を確認したうえで使用する必要があります。
編集部メモ
点群と3DGSは、「どちらが優れているか」で選ぶものではありません。
測量値として扱うのか、現場の状態を確認するのかによって適したデータが変わります。先に業務の目的を決めておくと、使い分けを整理しやすくなります。
033DGSが向いている用途建設の現場では、3DGSをどんな場面で使えるのか?
3DGSは、現場の形状だけでなく、周囲の状況や見え方まで含めて確認したい場面に向いています。
現場の記録
工事前や施工途中の現場を3DGSとして保存しておけば、あとから視点を変えながら状況を確認できます。
通常の写真では、撮影していない方向をあとから確認することはできません。3DGSでは、撮影データから再構成された範囲であれば、別の角度から周囲を見直せます。
施工前、施工中、完成後などのデータを時期ごとに残せば、現場がどのように変化したかを確認する記録としても使えます。
遠隔での現場確認
3DGSは、現場にいない担当者が周囲の状況を把握する用途にも向いています。
写真だけで特定の場所を説明する場合、撮影した位置や方向によっては、対象物と周囲との位置関係が分かりにくくなります。3D空間であれば、確認する人自身が視点を動かし、対象物の周囲まで含めて状況を確認します。
発注者、設計担当者、施工会社など、異なる立場の関係者が同じ現場について話す場合にも、確認している場所をそろえやすくなります。
設計モデルとの比較
3DGSで再現した現況に、BIM/CIMなどの設計モデルを重ねる使い方もあります。
現況と設計モデルを同じ3D空間に配置すると、設備を置いた場合の位置や周囲との関係、完成後のおおまかな見え方を確認しやすくなります。
施工前の配置検討や、現況と計画の違いを関係者間で確認するときに使いやすい方法です。
編集部メモ
3DGSは、撮影した現場をあとから別の視点で見直せる点に特徴があります。
ただし、撮影していない場所や、十分な情報を取得できなかった部分まで再現されるわけではありません。あとから確認したい範囲を意識して撮影することが重要です。
043DGSを業務で使うときの注意点3DGSを業務で使い続けるには、何を確認しておけばよいのか?
3DGSを作成できても、そのまま業務で扱いやすいとは限りません。
建設分野で継続して使う場合は、精度、データ容量、共有方法まで含めて運用を考える必要があります。
計測精度を確認する
3D空間上に距離を表示できることと、その数値を測量値として扱えることは別です。
どの機器で取得したデータなのか、どのようにスケールや座標を設定したのかによって、得られる精度は変わります。

測量や出来形検査など、数値そのものを根拠として扱う業務では、必要な精度を満たしているか事前に確認する必要があります。
データ容量を考える
広い現場や高精細なデータでは、3DGSのデータ容量が大きくなる場合があります。
作成したパソコンでは問題なく表示できても、別の担当者のパソコンやスマートフォンでは、読み込みに時間がかかることがあります。
社外の関係者まで共有する場合は、閲覧端末や通信環境を含めて、どの程度のデータ量なら扱えるかを考えておく必要があります。
共有方法を決める
3DGSを業務で使う場合、作成したデータを誰がどのように見るのかも重要です。
専用ソフトのインストールが必要な環境では、共有相手が増えるほど準備や説明の手間も増えます。
発注者や協力会社など、3Dソフトを普段使わない人まで閲覧する場合は、ブラウザで開けるビューワーを利用する方法があります。
編集部メモ
3DGSを試す段階では、データをきれいに作れるかに目が向きがちです。
実際の業務では、その後に誰が見るのか、何と比較するのか、確認した内容をどこに残すのかまで決める必要があります。
継続的に使うのであれば、作成方法だけでなく、閲覧・共有まで含めて運用を考えたほうが実務に組み込みやすくなります。
053DGSをブラウザで確認する方法専用ソフトを持たない相手と、3DGSをどう共有するのか?
WANが開発している「Machica」は、3DGSをブラウザ上で閲覧し、現場確認や情報共有に利用するための3DGSビューワーです。
Machicaでは、3DGSの表示に加えて、現況の3D空間にBIM/CIMなどの3Dモデルを重ねて表示できます。
距離や面積の計測、コメントの追加、資料の添付、元写真の確認にも対応しています。見ている場所や視点をURLで共有することもできます。
例えば、現況を3DGSとして表示し、その上にBIM/CIMモデルを配置すれば、現在の状態と計画を同じ画面上で見比べられます。
特定の場所について確認事項がある場合は、その位置にコメントや資料を残せるため、場所とやり取りを切り離さずに管理できます。

Machicaでは、次のような機能を利用できます。
- 3DGSの表示
- BIM/CIMなどの3Dモデルの重ね合わせ
- 距離・面積の計測
- コメントの追加
- PDFなどの資料添付
- 元写真の確認
- 視点や位置のURL共有
3DGSを作成するだけでなく、その後の確認や関係者との共有まで含めて使う場合に、こうしたビューワーが必要になります。
063DGSと点群は用途に応じて使い分ける点群・3DGS・元写真・BIM/CIMを、どう組み合わせればよいのか?
3DGSと点群は、取得方法やデータの性質が異なります。
測量や出来形管理など、位置や寸法の精度が重要な業務では、必要な精度を満たす方法で取得した点群が適しています。
3DGSは、写真に近い見た目で現場を3D化し、視点を変えながら状況を確認したい場合に向いています。現場記録、遠隔確認、設計モデルを重ねた検討などが主な用途です。
実際の業務では、点群、3DGS、元写真、BIM/CIMのいずれか一つに統一する必要はありません。確認したい内容や必要な精度に応じて使い分けます。
Machicaは、その中でも3DGSを現場確認や共有に使うためのビューワーです。BIM/CIMモデルやコメント、資料を同じ3D空間上で扱えるため、3DGSを作成したあとの運用までまとめて行えます。
3DGSを現場で使いたいものの、どのようなデータを用意すればよいか、BIM/CIMとどのように重ねればよいか分からない場合は、実際のデータをもとに利用方法を検討できます。
編集部メモ
初めて3DGSを導入する場合、既存の業務をすべて置き換える必要はありません。
まずは現場記録や社内確認など、3DGSの見え方を生かしやすい用途から試す方法があります。そのうえで、必要に応じて点群やBIM/CIMと組み合わせる範囲を広げていくほうが、業務に合う使い方を判断しやすくなります。

この記事で紹介した製品
3DGSビューワー Machica(マチカ)
現場の3Dデータを、ブラウザで閲覧・計測・共有するサービスです。BIMの重ね合わせ、コメント、時系列の比較などに対応しています。現在、β版を無償で提供しています。
出典・参考
Bernhard Kerbl ほか「3D Gaussian Splatting for Real-Time Radiance Field Rendering」ACM Transactions on Graphics(SIGGRAPH 2023)
Gaussian splatting - Wikipedia
Machica 利用マニュアル(β版)・機能紹介資料


