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VR研修・建機シミュレーターに助成金は使える? 2026年度の国と広島県の制度
研修の受講料と賃金・機器・ソフトのどれに使える制度なのかを、シミュレーター導入の前に見分けるために
建機シミュレーターやVR研修の見積もりを社内に回すと、「助成金や補助金は使えないのか」と聞かれることがあります。ところが国や県の制度は、研修の受講料や受講中の賃金に出るもの、機器の購入に出るもの、ソフトウェアの導入に出るものに分かれています。制度の名前だけで選ぶと、いちばん金額の大きい費用が対象外だった、ということが起こります。
たとえば厚生労働省の人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のパンフレットでは、社内で行う訓練の経費のうち、パソコンソフトウェアのような繰り返し使える教材や、パソコン・周辺機器は対象外とされています。一方で同じ助成金の事業展開等リスキリング支援コースには、2026年4月8日に、訓練で使う機器の導入費用に上乗せする「設備投資加算」が新設されました。
以下は、2026年10月27日時点で各制度の公式ページと公募要領で確かめた内容です。制度は年度ごとに変わり、対象になるかは個別の審査で決まるため、申請の前には必ず各窓口で確認してください。

この記事のポイント
受講料と賃金には、人材開発支援助成金
外部の研修の受講料や、研修を受けている時間の賃金の一部が助成されます。VR研修がどの実施方法に当たるかで、賃金が対象になるかが変わります。
機器の購入は、対象外になりやすい
機器の導入費に出るのは、事業展開等リスキリング支援コースの設備投資加算など一部です。賃上げや事業展開の計画が条件で、パソコンは対象外です。
ソフトの補助金は、社内研修だけでは合いにくい
中小企業庁の補助金は、登録されたITツールや、新製品・新事業の取り組みが対象です。研修のためだけの導入とは目的が違います。
01VR研修・シミュレーターの助成金は「受講料と賃金」「機器」「ソフト」で分かれる
導入にかかる費用は、研修そのものの費用、機器の費用、ソフトウェアの費用に分けられ、それぞれ検討する制度が違います。
| 費用の種類 | 検討する主な制度 | 所管・窓口 | 2026年10月27日時点の状況 |
|---|---|---|---|
| 研修の受講料、部外講師の謝金、受講中の賃金 | 人材開発支援助成金(人材育成支援コース、建設労働者技能実習コースなど) | 厚生労働省・都道府県労働局 | 訓練ごとに計画届を出して申請する |
| 訓練で使う機器・設備の導入費 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の設備投資加算 | 厚生労働省・都道府県労働局 | 令和8年度末までの時限措置 |
| ソフトウェア・システム・機械装置 | デジタル化・AI導入補助金2026、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 中小企業庁・中小企業基盤整備機構 | 公募回ごとに締切がある(直近はどちらも2026年10月30日) |
厚生労働省の助成金は、訓練の前に計画届を労働局に出し、訓練を終えてから支給申請します。中小企業庁の補助金は公募に申請して審査を受ける形で、デジタル化・AI導入補助金2026の4次締切分では、5,398者の申請に対して採択は2,446者でした(中小企業庁、2026年10月7日発表)。
マーケターのひとこと
シミュレーターの見積もりは、機器・ソフト・設定・保守・研修がひとまとめの金額になっていることがよくあります。これでは、どの部分がどの制度に当たりそうかを窓口で相談できません。見積もりの段階で、費用の種類ごとに金額を分けてもらうと、相談が早く進みます。
02研修の受講料と賃金に使える人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、雇用保険の被保険者である従業員に、職務に関連した訓練を計画どおりに行ったとき、訓練の経費と受講中の賃金の一部を助成する制度です。VR研修やシミュレーターに関係しそうなのは、次の2つのコースと、3章の事業展開等リスキリング支援コースです。
人材育成支援コース(10時間以上の研修)
10時間以上のOFF-JT(通常の業務から離れて行う訓練)が対象です。厚生労働省の「人材育成支援コースのご案内(令和8年8月3日版)」による中小企業の助成は次のとおりです。
| 項目 | 中小企業 | 賃金要件などを満たす場合 |
|---|---|---|
| 経費助成率(正規雇用の従業員) | 45% | 60% |
| 経費助成率(有期契約などの従業員) | 70% | 85% |
| 賃金助成(1人1時間あたり) | 800円 | 1,000円 |
| 経費助成の上限(1人1訓練あたり) | 10〜100時間未満は15万円、100〜200時間未満は30万円、200時間以上は50万円 | (加算分を含めた上限) |
賃金要件とは、訓練のあとに受講者の賃金を5%以上(資格手当なら3%以上)上げることです。
注意したいのは、VR研修をどの実施方法で行うかです。パンフレットは実施方法を「通学制」「同時双方向型の通信訓練」「eラーニング」「通信制」に分けています。eラーニング(受講管理システムで進み具合を管理する遠隔の講習)は賃金助成の対象外で、自社で行うeラーニングは助成の対象になりません。
また、自社で行う事業内訓練で対象になる経費は、部外講師の謝金や会場・備品の借料、教科書などで、繰り返し使えるパソコンソフトウェアや、パソコン・周辺機器の購入費は対象外です。自社でシミュレーターを買って社内研修を行う場合、機器の代金には使えず、要件を満たせば受講中の賃金が対象になり得る、という形です。
建設会社向けの建設労働者技能実習コース
建設事業主が、建設労働者に技能向上のための実習を受けさせた場合のコースです。厚生労働省のリーフレットでは、労働安全衛生法にもとづく特別教育や安全衛生教育、教習及び技能実習、技能検定の事前講習などが対象に挙げられています。
経費助成は実習の費用の一定の割合(被保険者数などで変わる)で、1つの実習につき1人10万円が上限です。賃金助成は中小の建設事業主が対象で、被保険者数が20人以下なら1人1日9,500円、21人以上なら8,550円です。使い道は、特別教育などの実習を受けさせるときの費用と賃金です。
03機器の導入費に加算が付く「設備投資加算」
機器の費用にも使える制度が、事業展開等リスキリング支援コースの設備投資加算です。新しい事業やDX化に必要な訓練を行い、訓練で使ったものと同じ種類の機器を自社に導入した場合に、通常の助成とは別に加算が支給されます。
このコースの中小企業の助成は、経費の75%(1人1訓練あたり上限30万〜50万円)と、1人1時間あたり1,000円の賃金です。厚生労働省のパンフレットでは、このコースは令和8年度末(2027年3月)までの時限措置とされています。
| 設備投資加算の主な要件 | 内容 |
|---|---|
| 会社の規模 | 中小企業であること |
| 取り組み | 事業展開等実施計画にもとづき、新しい事業やDX化・GX化に取り組むこと |
| 訓練 | 通学制か同時双方向型の通信訓練で、実技の中で機器を実際に使うこと |
| 賃金 | 訓練のあと1年以内に、受講者の賃金を5%以上(資格手当なら3%以上)上げること |
| 導入する機器 | 訓練で使ったものと同じ種類で、導入費用が10万円以上。購入・リース・ライセンスのどれでもよく、システム導入や専用アプリの開発も含む |
| 対象外の機器 | パソコン、タブレット、スマートフォンとその周辺機器、汎用の事務機器など |
| 加算の額 | 導入費用の50%。上限は受講者1人につき15万円、10人以上は150万円 |
たとえば受講者が2人で100万円の機器を導入した場合、加算は30万円までです。厚生労働省のリーフレットには、建設業の例として、測量にドローンを取り入れるために操縦や測量の訓練を行い、測量用ドローンを導入する例が載っています。
パソコン本体は対象外に挙がっているため、パソコンで動かすシミュレーターでは、どこまでが加算の対象になるかを確かめる必要があります。2026年8月3日の改正で、eラーニングによる訓練は1人1年度に1回までになった点にも注意して、計画の前に労働局へ相談してください。
マーケターのひとこと
加算の要件で大事なのは、研修で使う機器とあとで導入する機器の関係です。研修はレンタルのVRで受け、導入するのは別の種類の機器という計画では、「同じ種類」の説明がしにくくなります。研修で使う機種と導入したい機種をそろえて計画を書くと、相談の場で説明しやすくなります。
04シミュレーターのソフトや機器に中小企業庁の補助金は使える?
機器やソフトウェアの購入そのものを支援するのは、中小企業庁と中小企業基盤整備機構の補助金です。ただし、どちらも研修のための制度ではありません。
| 項目 | デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠) | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回) |
|---|---|---|
| 支援する取り組み | 業務効率化やDXのためのITツール(ソフトウェア・サービス)の導入 | 革新的な新製品・新サービスの開発、新しい市場への進出、海外市場の開拓 |
| 補助率 | 1/2以内(最低賃金に関する条件を満たすと2/3以内) | 1/2(革新的新製品・サービス枠の小規模企業などは2/3。特例による引き上げあり) |
| 補助額 | 1プロセス以上は5万円〜150万円未満、4プロセス以上は150万円〜450万円 | 革新的新製品・サービス枠は100万円〜2,500万円、新事業進出枠は750万円〜7,000万円(従業員数と賃上げ特例による) |
| 主な条件 | 事務局に登録されたITツールを、登録された「IT導入支援事業者」と組んで申請する | 機械装置・システム構築費が必須。付加価値額や給与支給総額を増やす事業計画を立てる |
| 直近の締切 | 2026年10月30日17時(以降の日程は事務局のサイトで公表) | 2026年10月30日18時 |
デジタル化・AI導入補助金2026
旧IT導入補助金にあたる制度で、対象は事前に事務局の審査を受けて登録されたITツールだけです。通常枠では、業務のプロセスを持つソフトウェアの購入費やクラウドの利用料が対象になります。検討しているソフトが登録されているかは、事務局サイトの「ITツール検索」で確かめられます。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
2026年度に始まった補助金です。第1回の公募要領では、革新的新製品・サービス枠について、単に機械装置やシステムを導入するだけで、新製品・新サービスの開発を伴わないものは対象外とされています。新事業進出枠も、自社にとって新しい製品で新しい市場に出ることが条件です。また、補助金で取得した財産は、計画に書いた新しい事業にだけ使う必要があります。
このため、社員研修のためだけにシミュレーターを導入する計画は、この補助金の目的と合いにくいと考えられます。要件を満たすかどうかは、事務局と審査で判断されます。
05VR研修で助成金を申請する前に決めておくこと
ここまでの制度は、どれも先に計画を出し、そのあとで研修や発注を行う順番です。申請の前に、社内で次のことを決めておきましょう。
| 決めておくこと | 理由 |
|---|---|
| VR研修の実施方法(講師がいる集合研修か、各自が受けるeラーニングか) | eラーニングは賃金助成の対象外。VR研修がどの方法に当たるかは労働局に確かめる |
| 研修を始める日 | 人材育成支援コースなどの計画届は、訓練を始める日の6か月前から1か月前まで。建設労働者技能実習コースは3か月前から原則1週間前まで |
| 見積もりの内訳(受講料・機器・ソフト・保守) | 制度ごとに対象の経費が違う。助成金の有無だけで受講料に差を付けた場合、その差額は対象外とされている |
| どの制度で申請するか | 同じ研修や経費について、複数の制度を同時に使えない場合がある |
| 賃上げの計画 | 人材開発支援助成金は賃金要件で助成が上乗せされ、設備投資加算では必須の要件になる |
| 申請書類を社会保険労務士に頼むか | 広島県には、社労士への報酬の一部を補助する制度がある(下記) |
広島県の「人材開発支援助成金活用支援補助金」は、人への投資促進コースか事業展開等リスキリング支援コースの申請を社会保険労務士などに頼んだとき、報酬の一部を補助率4/5、上限50万円で補助します。県の「リスキリング推進宣言」が条件で、社労士と委託契約を結ぶ日までに県の交付決定を受けておく必要があります。人材育成支援コースは対象外です。なお、県内の中小建設業者の研修の受講料などを助成する県の「建設業労働環境改善等助成事業」は、令和8年度分の受付を2026年8月21日に終えています。
マーケターのひとこと
導入の相談では「来月の新人研修から使いたい」と、研修を始める日が先に決まっていることがよくあります。計画届が1か月前までなので、そこから逆算した日程が必要です。研修を始める日から2か月ほど前には、労働局への相談と見積もりの取り寄せを済ませておくと、手続きと機器の準備を並べて進められます。
06PC画面とVRで訓練できる建機シミュレーター「メタトレ」
WANが開発している「メタトレ」は、3DCGと物理シミュレーションで建設現場を再現した建機シミュレーターです。ショベルの走行、旋回、掘削、整地、法面成形などの基本操作を、仮想空間の中でくり返し練習できます。

- PCとVRヘッドセットのどちらでも導入できる:操作の基本はPC画面、距離感をつかむ練習はVR、と使い分けられます(VR酔いの原因と対策)
- 危険な場面を組み込んだシナリオで訓練できる:埋設管や歩行者、車両、狭い道路など、現場で注意が必要な場面を設定できます
- 操作の記録を振り返れる:操作時間や動きの安定性、判断のタイミングなどを記録し、研修の結果を確かめられます
助成金や補助金の対象になるかは各制度の窓口でご確認いただく必要がありますが、研修の内容や機器の構成はWANにご相談いただけます。
07まとめ:VR研修の助成金は「受講料と賃金・機器・ソフト」の3つに分けて確かめる
VR研修や建機シミュレーターに使える制度は、何の費用に出るかで分かれます。導入を検討する側がやることを、費用の種類ごとにまとめます。
受講料と賃金:人材開発支援助成金で実施方法を確かめる
研修の受講料や受講中の賃金は、人材開発支援助成金の対象になり得ます。建設会社なら、特別教育などの実習に使える建設労働者技能実習コースもあります。VR研修が通学制とeラーニングのどちらに当たるかを、計画届の前に労働局で確かめてください。
機器:設備投資加算の要件と期限を確かめる
社内研修のための機器の購入は、多くの制度で対象外です。設備投資加算は、事業展開やDX化の計画、賃上げ、同じ種類の機器の導入が条件で、令和8年度末までの時限措置です。
ソフト:登録の有無と補助金の目的を確かめる
デジタル化・AI導入補助金は、登録されたITツールだけが対象です。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は新製品・新事業のための制度で、社内研修だけの導入とは目的が違うことを押さえておきます。
研修の実施方法、見積もりの内訳、研修を始める日の3つを決めてから、労働局と各補助金の事務局に相談することをおすすめします。
出典・参考
厚生労働省「人材開発支援助成金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html (2026年10月27日確認)
厚生労働省「令和8年度版 人材育成支援コースのご案内(令和8年8月3日版)」 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731967.pdf (2026年10月27日確認)
厚生労働省「令和8年度版 事業展開等リスキリング支援コースのご案内(令和8年8月3日版)」 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf (2026年10月27日確認)
厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正 設備投資加算を新設しました」 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001687557.pdf (2026年10月27日確認)
厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正 令和8年8月3日からの変更点について」 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731966.pdf (2026年10月27日確認)
厚生労働省「人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)」リーフレット https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001687871.pdf (2026年10月27日確認)
中小企業庁(ミラサポplus)「【補助金採択結果】デジタル化・AI導入補助金2026の補助事業者を採択」(2026年10月7日) https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/33237/ (2026年10月27日確認)
デジタル化・AI導入補助金2026 事務局「制度概要」「通常枠」「事業スケジュール」 https://it-shien.smrj.go.jp/about/ https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/ https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/ (2026年10月27日確認)
中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」 https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/ 、同「公募要領(第1回)」1.3版(2026年9月) https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/assets/documents/shinmono_application_guidelines_01.pdf (2026年10月27日確認)
広島県「令和8年度広島県人材開発支援助成金活用支援補助金について」 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hcm-reskilling/jinkaikinhojokin.html (2026年10月27日確認)
広島県「建設業労働環境改善等助成事業について」 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/93/kaizenjoseikin.html (2026年10月27日確認)

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